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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　会報誌　平成２１年１２月号掲載

家中張り紙だらけに（８）

　段々と病状がすすんできた姑は、生活の中で上手くできないことが増えてきました。

　食事の用意もあまりできなくなってきました。いつも同じ服を着ていることが多くなりました。食事は、2、３日分くらいは、作っておきたいのですが、分けて食べるということがなかなか難しく、あるだけ食べてしまうし、冷凍しても解凍することができませんでした。宅配のお弁当も利用してみました。最初の頃こそ「楽だよ、おいしいよ」と言っていたのですが、2ヶ月もすると「おいしくない、食べたくない、残るからもったいない」と言い始め、気がつくと中止にしていることの繰り返しでした。

　食品も薬もなるべく目につくところに中身が見えるようにしておきました。薬は、1回分ずつわけて、日付を書いて、飲み残しを確認していました。リビング、台所、冷蔵庫、テレビ、カレンダー、姑の目線が届くところに薬を飲むこと、冷蔵庫に入っているもの、次の日のことを大きく書いて貼って帰りました。そのうち姑が、あちこちにいろいろなことを書いて貼るようになってしまい、家中張り紙だらけになってしまいました。

　そんなある夜、姑から「お父さんがお風呂から出られん、早く来て」と言う電話がありました。急いで夫と駆けつけると、やっとお風呂からでた舅が座り込んでいました。私たちは脳梗塞の再発かと心配しましたが、舅は肺炎を起こしていました。幸い症状は重くなく10日ほどで退院できました、

　その時、私たちは、介護保険の存在を知ることができました。リハビリと言う理由で舅を説得して介護認定を夫婦2人で受けてもらって舅は週2回デイサービスに通うことができるようになりました。でも姑は、問題行動が多いということで受け入れてもらえませんでした。今から考えると疑問なのですが、姑を舅から離して解放してあげられるだけでもよかったと思っていました。舅のいない間ゆっくり横になったり、近くに住んでいる義妹とデパートに買い物にでかけたり、息抜きをしているようでした。

　しばらくすると案の定、舅がデイサービスに行かないと言うようになりました。「あんなところに行ってもたいしたことしとらん、行かんでもできる」と言い張りました。それでも介護保険のおかげで親身になってくれるケアマネージャーさんと出会って、一緒に説得してもらったり、話を聞いてもらったりしてなんとか一日一日をおくっていました。

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