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会報誌　平成２１年１月号掲載

姑が「硬膜下血腫」で手術（9）

　薄氷を踏む思いで日一日を送っていた私たちにもとうとう大きな転機がやってきました。

　平成１５年のお正月をなんとか迎えた頃でした。姑の頭の生え際あたりに打ち身のようなものがありました。「お義母さん、頭どうしたの？」「えっ？なんともないよ」あまり言うと気にしすぎてもいけないと思い、一応舅にも確認しましたが「知らん」の一言でした。それから1ヶ月すぎたころ、姑の歩き方がおかしくなりました。いつもはほんとに元気で走るように歩いていたのに、私に寄りかかるように歩くようになって、そのうち真っ直ぐ歩けないようになりました。心配になった私たちは、かかりつけ医に相談して、MRI検査の予約をしてその日を待っていました。でもその前にいままでかかってきたことのない電話がかかってきました。「お父さんだけど、お母さんが立てん、すぐ来てくれ」脳梗塞になってから舅がかけてきた初めての電話でした。

　夫はすでに出勤ずみで、両親の家に着くと、居間の床から立ち上がれず横になったままの姑といつものソファーに座っている舅がいました。私一人で姑を抱え上げなんとか車に乗せ病院に向かいました。病院に入るとすぐにMRI検査になりました。「硬膜下血腫です。このまま手術になります。」主治医の言葉を上の空で聴きながら、手術と入院の手続きをしました。頭の中は、“お義父さんどうしよう～子供も帰ってくるし～”そんな時に限って夫や義姉達も来ることができず、みんなが到着したのは姑が手術室に入る直前でした。手術は無事成功しましたが、それからがたいへんで「家にいる。どこにも行かん」と言い張る舅をみんなで説得して我が家につれてきました。

　翌朝、入院した時にすぐに心配してくれたケアマネージャーから「とにかく老健のベッドをひとつ確保しました、今はお母さんのほうについていてあげてください」と言う電話をもらいました。神様の声だと思いました。そのまま舅を老健に連れて行き入所の手続きをしました。抵抗する舅も「お母さんが手術して入院だからしばらく我慢してください」と言い含めてなんとか納得してもらいました。とにかく私は、姑の病院に向かいました。麻酔の効いている2日ほどはよかったのですが、さめてしまってからが大変で、本人に手術をした自覚がないので頭の包帯を取ってしまう、着替えて帰ろうとする、温泉に来ていると思い込み親戚に毎日電話をかけるなどなど・・。

　昼間は、姑の病室で話し相手、夜は、あちこちの親戚からかかってくる電話の対応でした。

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