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会報誌　平成21年11月号掲載

隣近所に迷惑が・・・・辛かった姑の混乱（７）

　大騒動の白内障の手術も無事？終わり、当時はとても大変だったのですが、その後姑がもっと混乱してから手術になっていたらと思うと、事故も無く終わってよかったと思います。それでも姑の病状は、手術やいつもと違う通院などで少し進んでいたかもしれません。その頃から近所の方とトラブルを起こすことも多くなりました。ある意味では徘徊だったと思いますが、早朝近所を歩き回っていたようで、ゴミを道端に捨てたり、花や植木の枝を切って持って帰る事があったようです。近所の方が直接両親に苦情を訴えてトラブルになることもよくありました。そんな場面に遭遇することも多く、とにかく謝って、姑の病気のことも話すようにしていたのですが、分かっていただけなくて、困ったこともたびたびでした。病気に対する理解もなかったけれど、姑の外見があまりにもしっかりしていて、その場の受け答えもはっきりしていたので、他人から見ると嘘をついて言い逃れしている困った家族としか見えなかったのだと思います。

　その頃の私の車には、小さな菓子折りがいつも入っておりました。迷惑をかけたり、お世話になった方々へのお詫びとお礼でした。さすがにその頃になると夫も事態を理解できたようで、近所の方々への対応などをやってくれましたし、近くの派出所にも状況を話してくれました。「たいへんですね」と言ってくださる方もいる反面、「家の車の傷もお宅がやったとしか思えない」と言われる方もいました。私達夫婦は、姑の病気の事はわかっていましたけれど、そんなことまでするとは思えませんでした。夫はもっと悔しく、情けなかったと思います。花やゴミのこともどこまでがほんとうなのか、半信半疑でもありました。

　そんなある日のことでした。いつものように親宅の玄関まで行くと、紙袋の中にパンジーの苗がいくつも入っていました。表側に見慣れた姑の字が見えました。「いつもお花をありがとうございます。どなたかわかりませんが、こんなにいただくわけにはいかないので、もう持って来ないで下さい。」胸がつまりそうになりました。花を持って来たのは姑なのかもしれないけれども、自分が持ってきたことが分からなくて、迷って、困っていたんだなと思いました。

　いつも明るくて、はっきりものは言うけれども、いつも前向きで根に持たない姑の本音というか、心の奥底の不安や悩みを覗いてしまった気がしました。私が姑のことを困った人と思っていたのですが、姑も、自分に起きていることがわからず、困っていたのです。

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