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会報誌　平成２１年9月号掲載

姑が目を手術(６)

　点滴通院は、長い間続きました。それでも時々忘れたかのように通わなくなるときもあり、慣れてしまった頃でした。突然見知らぬ眼科の診療券を見つけました。もちろん点滴通院していた総合病院にもかかりつけの眼科がありました。そして更にもう一枚見たことのない診療券が出てきました。財布の中には、白内障の手術の説明書のようなものも出てきました。

　「おかあさん、これなあに」「あのね、目が見えんのよ。いつもの先生のところに行ったら、なんともないって言うんよ。それでちがうところ探して行ったら、手術してくれるって、日帰りで帰れるんよ、よかったあ~」「お義母さん、新聞読める？カレンダーのあの字読める？」「それは読めるよ」目の悪い私からしたらうらやましくらいの視力でした。結局、手術は止められず、決行しました。今となっては、あの時やってよかったのですが、本当にたいへんでした。術後、麻酔が覚めると「目がおかしい。眼帯取りたい。なんか食べたい。帰りたい。」おさえつけるようにして夕方を待ちました。

　ようやく退院して家に帰ってほっとしたのですが問題はそこからでした。術後一日5回の目薬が出ていたのですが、昼間は、管理ができたのですが夜ができないのです。当時小学生の娘を一人にもできません。舅は杖を使うと歩ける状態ですが、自分の事以外あまり目をむけてくれないので、姑が出かけたことも、薬を飲んだことも、目薬を点したのかどうかということも見ていてくれませんでした。

　あの頃、舅とずいぶん衝突しました。いつも最後は「もういい。おまえたちの世話にならん。帰れ」と言われ、帰り道、ひとり車の中で「大正生まれのわがまま爺～」とよく怒鳴っていました。リセットしないとどうにかなりそうでした。そんな間も姑は、手術したことも忘れて、「目がおかしい」と言っては薬局に走って目薬を買ってきてさしていたり、病院の目薬は効かないといってどこかにしまいこんでしまい家中探すことになったりをくりかえしていました。

　当然大量の市販の目薬が手元に残りました。なにより困ったのが、病院でした。もちろん姑が認知症であることは伝えてました。姑は目がおかしいと言っては、診療日以外に病院に出かけ「目がおかしい、目が治らん」と訴えたようです。診療日に病院に行くと、受付で「おたく困るんですよね、へんなこと言わないようにちゃんと言い聞かせてください」と大変な剣幕で怒られました。情けなくて、悔しくて泣きたくなりました。でも平謝りです謝るしかありませんでした。　

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