３８

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　会報誌　平成22年2月号掲載
　第38話　ぎょうさん食べよる・・・

　寒くなると訃報を聞く機会が増えるような気がします。年末年始と寒くなり、１月も寒い日々が続いています。

我が家のばば様は、つい先日まで一人でご飯も食べれず、このまま天に召されるのではと心配していたのですが、今は朝食に出す食パン２枚を完食し、夕食も大人一人前しっかりと自分で食べるように元気になりました。

2009年も終わりを迎える12月31日の我が家の夕食はハンバーグでした。ハンバーグのほか、大根の煮物や豆腐の付け合せ、煮豆とお味噌汁をお盆に載せて、ベッドまで運びます。私の夕食の時間までには早かったので、近くで食事の様子を見ていました。ちょっとテレビを見ている隙に、お味噌汁をズズズッと一口、二口飲みこんでいました。ハンバーグを小さく切ってご飯茶碗に乗せておいたところ、５分も経たないうちに、ご飯はほぼなくなっていました。

あぜんとして見ていましたが、手の指がほとんど力が入らず、そのような手で不安定ながらも、茶碗やお湯呑みを持っていました。ついこちらから手を出したくなりそうなところを、じっと眺めていると、そのまま最後の一滴までお味噌汁も飲み干していました・・・。じっと同じ姿勢で座っているのがきついため、時々背もたれに寄りかかります。しかし、ちょっと休んだ後には、まだ残っているおかずを食べていました。

　「ぎょうさん食べよるよ！！」私は思わず母親に向かって叫びました。母曰く「最近またよく食べるようになった。しかも手伝おうとするのをいやがるので、一人で食べてもらっている。しかし、ご飯粒やおかずをこぼすのでお布団の周辺が汚い・・・」らしいです。

今朝の朝食も一人でがっつりと食パン２枚とバナナとミルクティーを一杯食べました。途中様子を見ると、切った食パンの２つほど床に落としていましたので、汚いですがそのまま、また皿に置いておきました。案の上全部なくなっていました。

　ついこの前までは本当に食べられなくなり心配したのですが、やはり人間は食事がしっかりすると、元気になるものです。母親から注意されるとそっぽを向いたり、トイレに行く時間になっても絶対「行かない」と言い張ったり、周囲を困らせることも増えてきます。朝せっかく洋服に着替えたのに、朝食後、寝間着にまた着替えていたり・・（一人で着替えると、寝間着の上からセーターを着てみたり、どこから手や首を出して着たらよいかわからなくなり、うんうん唸っていたり、第３者が見れば笑えます）。このまま「ぎょうさん食べよる！！」日々が続くことを、我が家の新年の祈願としたいと思います。
　

第３９話へ