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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　会報誌　平成21年１１月号掲載
第33話　夢の中では・・・
　
　ばばの一日の始まりは、寝息というかいびきというか、とりあえず寝ていることから始まります。そして、また寝るという行為で一日が終わります。というぐらい、一日中寝ています。これだけ人間は寝ることができるのかと感心してしまうほど。

寝返りすることもなく、両足をすりすり運動のつもりでしょうか、動かしながら寝ています。不思議と、背中やお尻の皮膚は赤くはなりますが、『床ずれ』というものはできていません。

　寝ている時間が大半であるので、言葉を発することも激減しています。しかし、唯一発言する機会が、夢を見ている時や、夢を見終わった後起きた時です。既に家族は慣れてしまいましたが、時々大声で話すことがあります。理由が分からない時は周囲はどぎまぎしてしまいましたが、その声が夢を見ているために起こす声だとわかり、家族も適当に?! 対応するようになりました。何か返事をすれば、それ以上の大声を発することはありません。

いったい何の夢を見ているのか・・・。また、夢から覚めたばば様は、お話好きになっているようです。家族の名前は一切言わない（分からない）のですが、『鍋の火がつけっぱなしだから・・・』

とか、『○×しなくては！！』とか、いったい夢の中ではどのような行動をしているのか分かりませんが、自分の足で立ち、自分の足で歩き、走り、いろいろなことを行っているように思えます。

　若い頃はテニスをしていた活発なおばあちゃんです。そして子供だけでなく、私達孫の世話もしながら、お花の先生の仕事もこなしていました。

　今では一日中ベッドで寝ている生活ですが、以前のばば様は、活動的な女性だったのです。

　私達家族でも、ばばの夢の中までは覗くことはできません。本人から聞き出すことも難しいことです。しかし、夢の中では自分の足で好きなように行動し、活躍できているのではないでしょうか？

目覚めた後、『あ、今私動けないのよね』と言ったことがあるそうです。自分の足で動けない今、ばばにとって、寝ている時間は、本来の自分を取り戻せる時間であるのかもしれません。

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