３１

第３０話へ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　会報誌　平成２１年6月号掲載
　第31号　布団・衣替え
　
　今日は私も妹も休みの日。２人で近くのスーパーへ買い物に出かけようとしたその時、母の大きな声が聞こえてきました。母親が大きな声を出す時は、たいていばば様のことです。

　今回はいったいなんだろうと、母に尋ねると、「お尻あたりの服が濡れてる。朝食のコーヒー牛乳をこぼしたから・・・」と、ばばと一緒にトイレへ去っていきました。さて妹と２人ばばのベッドを覗いてみると、確かにシーツもコーヒー色に染まっています。鼻を近づけるとコーヒーの香りがします。

　そういえば、今朝、朝食時に出したコーヒー牛乳を、ばばがこぼしてタオルが濡れていたと母が話していました。誰も布団のしかもお尻が当たる部分にこぼれているとは気づかず、今朝から数時間ばばはこの濡れた布団で寝ていたようです。

　トイレに連れて行った母に着替えを渡し、妹と２人で布団の衣替えが始まりました。失禁用シーツ（以前、東京にいる叔父さんがプレゼントしてくれた）のおかげで、敷布団には染みていなかったのですが、くんくんとコーヒーの香りはしました。このような事態の時は、私の妹はすばやい!! 次々と毛布類をはぎとります。また、枕にはばばの抜け毛がたくさんあったので、掃除機で周辺の掃除までが始まりました。私の方は、母からばばを受け取り、服を着替えていただき、しばらく母親のベッドにいてもらうようにご案内しました。ものの１０分程度で、ばばの新しい布団がきれいにセットされました。
『さすが!! 母と妹!! 』私はあまりお手伝いできませんでしたけど・・・。

　当の本人に「コーヒー牛乳こぼしたみたいよ」と伝えましたが、「そう？あら？知らないよ」とすっとぼけた回答をしてくれました。

お尻も下着もシーツもあんなに濡れていたんですけど・・・・と心の中で思いました。『気持ち悪さ』も感じなくなってしまったのか、どうでもいいのか、よくわかりません。

　さて、このような事態が家族がたくさんいる時に起こってよかったと思います。家に母しかいない場合は、どんなに体がきつくても母一人で対処するしか仕方ありません。きっと私達のいない日々にも、様々な事件が起こっているのでしょう。それをいつも一人で対処するのは体力的にも精神的にもきついことだと思います。

　おばばさん。お願いですから、事件は私達姉妹がいる日に起こしてください。できれば起こさずに平穏無事な休日が一番いいのですが・・・・。

第３２話へ