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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　会報誌　平成21年５月号掲載
第29話　やる気０か、１００か

　皆さんの家にいらっしゃる年配の方（いわゆるおじいちゃん、おばあちゃん）の『やる気』はいかがですか？『やる気』と一言でいってもいろいろな使い方があると思いますが、我が家のばばの場合、『やる気』パワーのバロメーターは、日々の『着替え』にあります。

　最近、朝になっても洋服に着替えてなかったり、逆に夜になっても寝巻きに着替えないまま就寝時間を迎えていることが増えてきました。（ばばの場合は全ての時間が就寝時間といえますが、あえてここでは夜間を想定しています）。「着替える」という『やる気』がなくなってきているのです。

　案の上、わが母上は「何やっているの！！着替えないと手伝わないよ。行儀が悪いよ！」と叱咤激励（？）します。それに呼応しないのが、我が家のばばですので、さらに一段と母上の声のトーンが上がります。

そろそろいいかな？というタイミングで、ばばも起き上がろうとするようですが、これまた起き上がることが難しくなってきています。必死の表情で起き上がろうとしますが、腹筋がなくなってきているせいか、起き上がるまでに血圧が急上昇しそうな様子になります。

　結果、起き上がりにはこちらの介助が必要となり、着替えも手伝うはめになります。「今日のやる気はどうだった？」というのが、最近の母との会話に加わっています。「今日はやる気０（ゼロ）！という日もあれば、翌日自分でベッドにちょこんと座り、どうにかこうにか洋服に着替え、しかも丁寧に寝巻きを折りたたむまで行う、『やる気100％！』の日もあります。いったいどちらの姿がばばの本当の姿なのか悩むところですが、この『やる気100％！』は長続きしないのが法則のようで、このまま続くかと思えば、『やる気０（ゼロ）』に元通りになったりします。

　毎日毎日、これでもか、というほど寝ていますし、トイレに行く回数も減ってきています。骨太だった手足は、見る影もなく細くなり、息をするのも一苦労のように見えます。みるみるうちに体力が落ちてきているのがわかりますので、常に『やる気満々！』のおばあさんであるわけがないのですが、家族としては昨日まで出来ていたのだから、できて当然と考えてしまいがちです。家族の気持など知っているのか知らないのか、現在、私の朝のばば観察は、『本日のやる気具合』だったりするのです。

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